歴史ものにおける色小姓問題

いや、昨日が放送日だったから伝説もなにもいまからなのだけれど、
「おんな城主直虎」42回は、もう私的には伝説回だとおもうのです。


覚えてるかぎり、10歳からこっちずっとみてる大河で、ずっとぼやかされてる色小姓問題ですよ。
BLとかじゃなくて、教養と文化としての男色って日本の歴史には脈々とあるはずで、
それは肉体的な部分と精神的部分があってどーのなんて話は色々な本をよむがいい私。
家にある澁澤龍龍彦のどれかで読んだ筈だ(いや足穂のA感覚とV感覚かもしれん)。


もうあからさまで誰も躊躇しないのは、織田信長森蘭丸の関係なのだろうけれど(皆が聞いたら「ああ」って漠然と認識するレベル)、それだって私が知る限り大河で具体的に放送されたりはしてないと思うのです。
過去の大河でも、あからさまに近親相姦だよねこの執着レベルは、とか、
ああ、これ個人の趣味として男性好きなんだろうな、って人はいたんだけれど、そうではなくて、文化や伝統としての色小姓らしき存在って本当にタブーというか、まあぼやかされてた筈。

いやそれがですよ。多分今回、きちんと描かれてるわけです。
偉業だなっておもいました。すごい。いいぞもっとやれw

大河も10月に入り直虎の次世代として大河後半で描かれているのは、これから徳川の赤鬼とまでよばれる井伊直政になる、井伊虎松=井伊万千代。
今は下積みをやっていて(今川方にいたつぶれた家のコで、養子に行った先の徳川配下の松下の家のコとしてお城にあがれば即小姓になれたものを、わざわざ「井伊を」名乗ったものだから、冷遇されて草履番からはじめているw キレやすく、都合よく自分はまだ15歳だといい、15なのだから一人前だと主張する、本当によくある「イキったコドモ」なのだけれど)、徳川重臣の関係者がなっている小姓の連中にバカにされたりしつつも、やるとなったら下足番のお仕事も生真面目に仕事するわけです。
なんか変な方向に努力してることも多いけれどw なんかもう面白いコなのです。
万千代と万福(政次の弟、玄蕃となつとの子。万千代の数コ上)の幼なじみコンビも最高で、ラインハルトのちょっとおかしなやつとフランクなキルヒアイスみたいな良いコンビなのですよ。

 

42回は万千代君、いいように手伝わされた仕事を、目の前で彼らにいいつけた小姓が自分のしたこととして報告し、手柄を奪われ、悔しさで同僚のおじさん(将来本多正信になる人。まだ鷹匠あがりのノブとしての同僚であり手下)を勢いで殴った(どうかとおもうがw)

でも、我慢して生真面目に働いていたらそれはそれで、きちんと見てくれる人が現れる訳です。

徳川家康ですよ!!!
これまで万千代は何度か口約束してもらって(子供っぽく)期待しては「裏切られた」と言い続け、
『いつか●してやる!』とまで口走ってたけどまあw

やー家康さー。ほんといい上司なんですよこれが。
今川で苦労して苦労して今のところにたどりついて、可愛げがあって、重臣が支えてくれる。
情に厚い所があって、忘れなくて、わりときちんと良く見てる。洞察力がするどくて、鼻が利く。
出来る範囲では、きっと正しくいい人であろうとする。まあ出来る範囲でだけど。
周りには幼なじみの重臣も、人質となった子供の頃より支えてくれた人らもいる。
今はその人たちを重用するしかないけれど、いずれそれだけでは大きくなりようがないってちゃんとわかってる。

小賢しくイキった感じの万千代も「才長けた面白いコだなあ」って思ってて、自分の幼名から「千代」を与えた。これだってかなり特別視してる証拠で。
そこをえこひいきは家内の遺恨になるかもしれないと榊原康政あたりは諌めたりしているっぽくて。
いつかは取り立ててやろうとか叩いたら伸びるコと見極めて彼らを下足番にしたし、いずれはきちんとするとの直虎への口約束もきっと信頼していいものだろうけれど、まあ
そんな大人の意図なんて知るか!今えらくしろ!ってタイプの子なんですよ万千代君w

そのイキった感じが、出来る気になって就職してきて、アシスタントしかさせてもらえなくて不満たらたらの新人サラリーマンそのものっていうか、まあ確かに、大人の目からみたら可愛いところもあるわけで。

 

でね、昨日です。
戦に勝利してもどってきた家康は、万千代万福とノブのやってる下足場の棚が立派になってるのにちゃんと気付くんです。
戦勝記念のお祝いの席からいなくなった家康の行方を、多分寝所までおくった榊原康政に(酔った)忠勝が訊いたら、曰く「疲れたからもう休む」と。
それなのに、その寝所に呼ばれるわけですよ。万千代君がww
当の榊原康政がよびにくるんですよw 「殿が寝所までこいとお呼びである」
しかも「身綺麗にしてからこい」ってwww

 

いやーもう誤解するよね。というか、そういう話だよね?
大河でやったなーって、もう私はニヤニヤしっぱなし。
そこにいるノブがいうわけです「万千代様は顔だけ<は>はかわいらしいから」「殿は趣味をかえられたのかもしれません」←殿の趣味を熟知してるのかこのひとは…w

追い打ちw

で、万千代君はよっしゃーってへんな覚悟決めてw ちゃんと体を清めて(おそらく)新しいふんどしで一張羅で寝所にあらわれるわけですよ。

 

狭い部屋。敷かれたお布団の向こうで、家康、なにかむしゃむしゃたべながら一人囲碁
(いやさっきまで康政がいたのかもしれないけれど)
布団のむこう、入り口付近にちょーんって座る万千代。
遠いから話もできないだろーって、ほろ酔いの家康が近くに呼び、
武具の手入れが今までと違ってちゃんと出来ていた。今までにはなかったことだから、きっと君らだろうって。棚も綺麗になってたし、日本一の留守居を命じられたら(家康がでまかせ気味にいったんだけどw)ちゃんと頑張るコだよね君ね

ってほめてくれるわけですよ。
もう自分たちみたいな下っ端のことをちゃんとみててくれて正しく評価してくれて、褒めてくれる上司ってこう、最高じゃないですか?
万千代君、お目目まっかにして泣きそうになって感極まって、それがもう今までずっと怒ったり怒ったりどこの阿修羅か?ってくらいのヘン顔みたいなのをしがちだった万千代君(の中のひと)に相応しいかわいらしさで。
寝所によばれる→そういう意味じゃないから、って笑っていなした家康君の心がこうぐら、っとするのもわかる可愛さという描写で。
うん。これ演出と演技がうまいんだ!

で、ぐっと膝をつめてきた家康が
「もういっそほんとのことにしてしまわぬか?」っていいだして、いやいやいやいや、って覚悟してきた筈なのに腰がひけて、まぁそこまでしか画面はなかったのですが、
来週の予告みたら、無事小姓になった万千代万福君が、家康の名をだして相手を威嚇してるわけですよ。

 

えーとつまり、そういうことですかね?

 

みたいなミスリードをまたこう…(きっとどっちとも書かずにどうとでもとれる風になってるのだけれど、史実的によくいわれるのは、事実直政君はそういう関係だったらしいのですけど)

 

 

で、ここではられたツイッターの知識が私のブレーカーをバチーンといれるわけです。
(え!今迄のはまえおき!まえおきなの???w)

 

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そりゃーいいねもRTもしますわ。
ノブも「趣味かえた」っていいますわ……

 


勿論、「本当のことにしてしまおうか」の可能性としては

① 史実通りにそう言う関係でした
② 万千代達を小姓にするための方便としての「寵愛をうけた」という言い訳

の2つが考えられてですね、えーとそのw 他の小姓をみるかぎり、そんな美少年系もいなければ、榊原様のようなタイプもいないわけで、別にそういう関係じゃなければないでも成り立つ話ってところが、なんかもう大河うまいとこに逃げたな!っておもいました。

 

 

で、私にとっては万千代君と家康の関係なんてどうでもいいんですよ!!!

どっちかというと、榊原様と家康との関係がごちそう魅力的すぎてで、ですね。
先週41回も、元々家康に反旗を翻した筈の本多正信が下足番としていけしゃーしゃーと働いているのが許せなくて「一族の恥である」と抜刀して本気で殺りにきた本多忠勝を、榊原康政「俺の顔に免じて」って止めたり(普段<私>としかいわない康政の吐く、<俺>人称美味しいです本当にありがとうございます)、忠勝が「康政」って呼び捨てにしてたり、二人が同じ年で、二人して家康を支えた幼なじみだったりする関係とか……
ぶわーーーーっっと無限の大宇宙的な妄想領域があるこの素敵さの後に、この「御座をなおした」もう独りの相手が榊原様というこの情報ですよ!!!!

 

榊原様、きっと宴会から酔っぱらい気味の家康を寝所におくり、暫く話の相手か囲碁の相手を務め、
そのあと万千代を呼んできて、っていわれた時に「あんまりえこひいきすると色々あるから」って忠告くらいはきっとしたんだろうけれど、そのまま家康の言う通りに万千代を呼びにいき、
後日、万千代君は小姓に異例の大抜擢でひきあげられ、
当の本人も堂々と「家康」を小姓の間でかさにきるわけですよ。
きっと榊原様がそのトラブルに気付かぬ筈もなく、頭を悩ます筈w(たのしいw)
おもえば先週、万千代がふと榊原様相手にもらした言葉が「家康をバカだっていってるのと同じ」といって怒ったのも別に万千代にそう釘をさして<みせた>のじゃなくて本当に家康を大事におもってるんだって思ったほうが捗る。

 

榊原様は、実際<先日何があったか>を家康に問いつめるであろうし、
何ごとかがあってもなくてもいいけれど万千代が起こしているトラブルも報告するだろうし、きっと家康は「あはは」と薄く笑って放置しそうだ。
きっと苦労性の榊原様は眉をひそめるw(かわいい)


家康からの絶対の信頼と愛情は榊原様との間に築かれていて揺るがないであろうけれど、このヤンチャではねっかえりで素直なところも沢山あって、若者らしくイキっててやるきもある子供のかわいい万千代君がまたいいスパイスで、家内といろいろな関係をひっかきまわしてくれそうでこう、
腐的に実においしくておいしくて……いやもうみんな考えてるだろうけれど、薄い本の定番だよねこれね!

 

本当に大河ありがとう。私のなかで伝説回になりました……

 

 

人間模様的に、逃亡先からもどってきた領主になるべくしていた筈の男性がスケコマシだったとか、魂で影碁までうちあった家臣で幼なじみの政次のとどめを自分でさすことになりPTSD気味になった直虎とか、政次と直虎ちゃんとの関係とか、そのあとの龍雲丸との密やかな愛情と関係とか、なつと政次の密かな関係とか、少女マンガ的にもすっごいおいしいこといっぱいあったはずだし、
大河的に、爪に灯をともす様にして、本当に静岡の片隅の小さな小さな谷の領主ががんばりました!みたいな新しく面白い基軸の経済文化大河をここまでみて、主人公である直虎ちゃんがきちんと精神的に成長も遂げ、そのあと平成の若者みたいな万千代の俺はやるぜ!出世物語みたいなのがはじまったっていうのに………

結局私はふと出てきたおじさん達の人間模様の(ありもしない妄想で)大喜びしてるってわけですよ。
ああ……成長せんなあ…w

でもまあ、あれです。
榊原様をはじめとした、彼のメンバーが家康を支えてここまでやってきた過程、くわしく!
第二シーズンとは言わないから、土曜ドラマで8回くらいやってくださいおねがいします!
(って去年真田丸の第二期大坂篇をみてるときも思ったなそーいえば…w)